婚前契約とは?取り決めるメリットや契約書を作成する際の注意点を解説
- 作成日
- 2023/06/01
- 更新日
- 2023/06/01
目次
外国の著名人の離婚のニュースなどで、婚前契約という言葉を知った方もいるかもしれません。
日本でも婚前契約をすることができますが、実際に婚前契約書が作成されることはほとんどないようです。
しかし、婚前契約により、結婚前に、多様化している夫婦のあり方を考え、それぞれの夫婦が話し合ったうえで幸せと考える夫婦関係を目指すことができます。
今回は、婚前契約について、婚前契約のメリットや契約書を作成する際の注意点について解説します。
日本でも婚前契約をすることができますが、実際に婚前契約書が作成されることはほとんどないようです。
しかし、婚前契約により、結婚前に、多様化している夫婦のあり方を考え、それぞれの夫婦が話し合ったうえで幸せと考える夫婦関係を目指すことができます。
今回は、婚前契約について、婚前契約のメリットや契約書を作成する際の注意点について解説します。
婚前契約とは
「婚前契約」とは、結婚後の生活や離婚の際におけるトラブルを防ぎ、幸せな婚姻生活を送ることを目的として、結婚前に夫婦の間でする契約のことをいいます。
結婚後も夫婦間で契約することはできますが、結婚後の夫婦間の契約は、いつでも取り消すことができるという規定があるため(民法754条本文)、取り消されてしまうおそれがあります。
また、後で詳しく説明する夫婦の財産についての契約は、結婚前に契約しなければ無効となります(民法756条)。
そこで、結婚前に「どのような夫婦生活を送りたいか」、特に「夫婦財産の処遇をどうするか」ということを夫婦で話し合い、合意した内容について婚前契約を締結することが、結婚後のトラブル防止に重要となります。
婚前契約の内容は、夫婦それぞれで異なりますが、一般的な婚前契約には、次のような内容が含まれます。
結婚後も夫婦間で契約することはできますが、結婚後の夫婦間の契約は、いつでも取り消すことができるという規定があるため(民法754条本文)、取り消されてしまうおそれがあります。
また、後で詳しく説明する夫婦の財産についての契約は、結婚前に契約しなければ無効となります(民法756条)。
そこで、結婚前に「どのような夫婦生活を送りたいか」、特に「夫婦財産の処遇をどうするか」ということを夫婦で話し合い、合意した内容について婚前契約を締結することが、結婚後のトラブル防止に重要となります。
婚前契約の内容は、夫婦それぞれで異なりますが、一般的な婚前契約には、次のような内容が含まれます。
- 家計負担の合意
- 子育ての役割分担の合意
- 結婚生活における合意
- お互いの親族との付き合いの合意
- 離婚の際の条件の合意(共有財産の範囲、財産分与の額の合意など)
- 契約違反の場合のペナルティの合意 など
婚前契約は結婚生活上のトラブル防止・幸せな結婚生活を送ることが目的
結婚は、夫婦が同居して共同生活を送り、基本的に生計も同一になり、お互い貞操義務や協力扶助義務を負いますので、恋愛関係であった頃の関係と全く同じということはありません。
そこで、結婚後の生活について、結婚前に二人で話し合い、結婚生活でのルールを定め、離婚することとなった際の取り決めをしておくことで、事前にトラブルを防止し、齟齬のない幸せな結婚生活を送ることを目的として、婚前契約を締結するカップルもいます。
婚前契約があれば、結婚後関係が悪化しても、二人で話し合って決めた目指すべき結婚生活の内容については婚前契約に定められていますので、合意内容を確認して夫婦関係の修正を目指すことができます。
また、一方が契約に反したとしても、ペナルティを定めておけば、契約に沿って冷静に解決することができるでしょう。
日本では、婚前契約はあまり利用されていないのが実情ですが、アメリカやヨーロッパでは、特に、夫婦の共有財産の範囲・財産分与の額などを事前に合意するために、婚前契約が広く利用されています。
そこで、結婚後の生活について、結婚前に二人で話し合い、結婚生活でのルールを定め、離婚することとなった際の取り決めをしておくことで、事前にトラブルを防止し、齟齬のない幸せな結婚生活を送ることを目的として、婚前契約を締結するカップルもいます。
婚前契約があれば、結婚後関係が悪化しても、二人で話し合って決めた目指すべき結婚生活の内容については婚前契約に定められていますので、合意内容を確認して夫婦関係の修正を目指すことができます。
また、一方が契約に反したとしても、ペナルティを定めておけば、契約に沿って冷静に解決することができるでしょう。
日本では、婚前契約はあまり利用されていないのが実情ですが、アメリカやヨーロッパでは、特に、夫婦の共有財産の範囲・財産分与の額などを事前に合意するために、婚前契約が広く利用されています。
婚前契約書を作成するメリット
日本ではあまり利用されていない婚前契約ですが、婚前契約を行い、婚前契約書を作成することは次のようなメリットがあります。
(1)約束した内容を守らせることができる
夫婦間の口約束はよくあることですが、きちんと契約書として残すことで、夫婦双方が「夫婦生活のためにこれは守らなければならない」という意識を持つことができます。
また、口約束だと「言った言わない」というトラブルが生じがちですが、書面に残すことで合意内容を証拠として残すことができます。
また、口約束だと「言った言わない」というトラブルが生じがちですが、書面に残すことで合意内容を証拠として残すことができます。
(2)お互いの考え方に向き合える
婚前契約書を作成していく過程で、お互いの価値観や考え方を共有することができますので、お互いを理解することができ、お互いが目指す夫婦関係を共有してそれを目指すことができます。
話し合いの過程で、相手との考え方が異なる点を把握することができますので、事前に夫婦喧嘩の種を把握することができ、夫婦喧嘩を予防するために事前に取り決めをすることができます。
話し合いの過程で、相手との考え方が異なる点を把握することができますので、事前に夫婦喧嘩の種を把握することができ、夫婦喧嘩を予防するために事前に取り決めをすることができます。
(3)結婚後のトラブルにも迅速に対応できる
結婚後は、価値観や考え方の違いで、家事や育児、親族との付き合いなどで意見が異なり、トラブルや夫婦喧嘩になることも多いのですが、事前に生活上のルールを決めておくことで、トラブルが生じたときは合意内容を確認して解決することができます。
(4)夫婦財産契約と婚前契約の違い
婚前契約のうち、最も重要な内容となるのはやはり夫婦の財産についての合意だと思われます。
夫婦の財産については、民法において、夫婦間の財産契約を締結することができるとされています(民法756条)。
この夫婦財産契約により、婚姻前から双方が所有している財産についての取り決め、婚姻中に夫婦が取得した財産についての取り決め、生活費の負担についての取り決めなどを行うことができます。
しかしながら、夫婦財産契約は婚姻届提出前に締結しなければならず、かつ、登記しなければ、第三者に対して契約内容を主張することができません。
このように夫婦財産契約の締結には厳格な条件がありますので、日本ではほとんど利用されていません。
夫婦財産契約を締結していなくても、夫婦間の財産については次のように民法上に定めがあり、民法上の定めの通りに処理されるので特に問題がないことも、夫婦財産契約が利用されない理由の一つだと考えられます。
夫婦の財産については、民法において、夫婦間の財産契約を締結することができるとされています(民法756条)。
この夫婦財産契約により、婚姻前から双方が所有している財産についての取り決め、婚姻中に夫婦が取得した財産についての取り決め、生活費の負担についての取り決めなどを行うことができます。
しかしながら、夫婦財産契約は婚姻届提出前に締結しなければならず、かつ、登記しなければ、第三者に対して契約内容を主張することができません。
このように夫婦財産契約の締結には厳格な条件がありますので、日本ではほとんど利用されていません。
夫婦財産契約を締結していなくても、夫婦間の財産については次のように民法上に定めがあり、民法上の定めの通りに処理されるので特に問題がないことも、夫婦財産契約が利用されない理由の一つだと考えられます。
- 夫婦別産制(婚姻前から有していた財産及び婚姻中に自分の名で得た財産(相続など)はその者の特有財産となり、夫婦の共有財産とはならない民法762条1項)。
- 夫と妻のどちらの所有かわからないときは、共有財産となる(同条2項)。
- 生活費は、夫婦がその資産、収入その他一切の事情を考慮して負担する(民法760条)。
夫婦間の契約は「婚前契約書」にして残すことが大切
婚前契約書という形を取らなくても、「夫から妻に月々15万円生活費として渡す」「保育園の費用は妻が負担する」など、夫婦間で約束事が存在するのは通常のことです。
しかし、結婚後夫婦間で締結した契約は、基本的にいつでも一方が取り消すことができることから、約束の拘束力はあまりありません。
また、結婚前の約束事であっても、口頭の約束のみだと客観的な証拠がありませんので、「言った言わない」でトラブルになることがあります。
したがって、結婚後の夫婦間の合意内容としてきちんと法的な拘束力を持たせたいときには(後で詳しく述べますが、合意内容によっては法的な拘束力がない場合もあります)、婚前契約を行い、その内容を書面としてきちんと残すことをお勧めします。
しかし、結婚後夫婦間で締結した契約は、基本的にいつでも一方が取り消すことができることから、約束の拘束力はあまりありません。
また、結婚前の約束事であっても、口頭の約束のみだと客観的な証拠がありませんので、「言った言わない」でトラブルになることがあります。
したがって、結婚後の夫婦間の合意内容としてきちんと法的な拘束力を持たせたいときには(後で詳しく述べますが、合意内容によっては法的な拘束力がない場合もあります)、婚前契約を行い、その内容を書面としてきちんと残すことをお勧めします。
公正証書として残すべき?
婚前契約書は、当事者双方が合意した内容を記載した書面に、署名・押印すれば作成することができます。これを、私文書といいます。
一方で、公正証書は公証人が法律に従って作成する公文書なので、私文書で残すよりは効力が強いのではないか、メリットが多いのではないかとも考えられます。
公正証書には、一般的に次の二つのメリットがあるのですが、婚前契約書を公正証書にすることは難しく、公証人に依頼しても断られることが多いようです。
これは、公証人の仕事は法律に従って公文書を作成することですが、婚前契約書には法律上効力がないと考えられる内容も含まれることや、金銭の支払い約束も「浮気をしたら」など「仮に」定められるもので確定的なものではなく、支払期限も特定(「〇年〇月〇日までに支払う」など)されていないことから、強制執行できるような内容ではないためだと考えられます。
したがって、公証人によっては内容を修正したうえで公正証書の作成を引き受けてくれる人もいるかもしれませんが、基本的には公正証書にするのは難しいと考えられます。
一方で、公正証書は公証人が法律に従って作成する公文書なので、私文書で残すよりは効力が強いのではないか、メリットが多いのではないかとも考えられます。
公正証書には、一般的に次の二つのメリットがあるのですが、婚前契約書を公正証書にすることは難しく、公証人に依頼しても断られることが多いようです。
これは、公証人の仕事は法律に従って公文書を作成することですが、婚前契約書には法律上効力がないと考えられる内容も含まれることや、金銭の支払い約束も「浮気をしたら」など「仮に」定められるもので確定的なものではなく、支払期限も特定(「〇年〇月〇日までに支払う」など)されていないことから、強制執行できるような内容ではないためだと考えられます。
したがって、公証人によっては内容を修正したうえで公正証書の作成を引き受けてくれる人もいるかもしれませんが、基本的には公正証書にするのは難しいと考えられます。
- 証明力が強い
作成の際には、当事者及び代理人の身分証明書や印鑑証明書、委任状などを確認し、身元や代理権の範囲についてしっかりと確認します。
仮に、当事者が合意しても、公証人からみて法令違反となり有効と認められないような条項は、公正証書にすることはできないでしょう。
このように、プロである公証人が、厳密な手続きを経て作成した公正証書には、強い証明力があると考えられています。
仮に、当事者が合意しても、公証人からみて法令違反となり有効と認められないような条項は、公正証書にすることはできないでしょう。
このように、プロである公証人が、厳密な手続きを経て作成した公正証書には、強い証明力があると考えられています。
- 差し押さえなどの執行力がある
「強制執行認諾文言付き」の公正証書を作成するようにします。
強制執行認諾文言は、通常、「債務者が本契約の債務を約束通りに履行しなかったときは、直ちに強制執行を服することを承諾する」などという内容で、公正証書の最後の条項に記載されます。
このような強制執行認諾文言付きの公正証書には、裁判の勝訴判決と同等の効力が認められます。
そのため、約束通り支払われなかった場合には、公正証書を根拠として、相手の財産を差し押さえるなどの強制執行をすることが可能です。
強制執行認諾文言は、通常、「債務者が本契約の債務を約束通りに履行しなかったときは、直ちに強制執行を服することを承諾する」などという内容で、公正証書の最後の条項に記載されます。
このような強制執行認諾文言付きの公正証書には、裁判の勝訴判決と同等の効力が認められます。
そのため、約束通り支払われなかった場合には、公正証書を根拠として、相手の財産を差し押さえるなどの強制執行をすることが可能です。
婚前契約書に入れるべき項目
一般的に婚前契約書に盛り込まれる内容について説明します。
(1)家事、育児のこと
夫婦共働き世帯が多数派となり、家事育児に積極的にかかわる男性も増えてきましたが、現状、妻が家事育児のほとんどを担っているという夫婦は少なくありません。
家事育児の負担が一方に偏ると、その不満や配偶者の無理解からトラブルが生じ、夫婦仲が悪化することがあります。
したがって、結婚前に、家事・育児の分担割合について話し合って合意しておくことにより、結婚後のトラブルを防止する効果が期待できます。
家事育児の負担が一方に偏ると、その不満や配偶者の無理解からトラブルが生じ、夫婦仲が悪化することがあります。
したがって、結婚前に、家事・育児の分担割合について話し合って合意しておくことにより、結婚後のトラブルを防止する効果が期待できます。
(2)親族との付き合い
親族との付き合いについての考え方は、夫婦それぞれ、価値観や育ってきた環境により異なります。
毎週のように会いに行くことが当然、合鍵も渡していつ来てもらってもいいと考える人がいる一方で、数年に一度会うくらいで十分、合鍵を渡すなんてとんでもないと考える人もいますので、親族とのかかわり方は、夫婦間の喧嘩のきっかけとなることも多くあります。
したがって、親族付き合いに関しても、例えば正月やお盆ではそれぞれどちらかの実家に帰省するといったことなどについて話し合って、婚前契約書の内容とすることを検討するとよいでしょう。
毎週のように会いに行くことが当然、合鍵も渡していつ来てもらってもいいと考える人がいる一方で、数年に一度会うくらいで十分、合鍵を渡すなんてとんでもないと考える人もいますので、親族とのかかわり方は、夫婦間の喧嘩のきっかけとなることも多くあります。
したがって、親族付き合いに関しても、例えば正月やお盆ではそれぞれどちらかの実家に帰省するといったことなどについて話し合って、婚前契約書の内容とすることを検討するとよいでしょう。
(3)生活費の負担割合
専業主婦(夫)の場合は、一方に収入がありませんので、他方が全額負担することになると考えられます。
夫婦共働きの場合は、生活費の負担割合は、通常、夫婦の仕事の有無、収入額、家事育児の負担割合、妊娠・育休取得などの状況によって異なるのが通常です。
家賃・生活費などの負担は誰がするのか、割合はどの程度か、それぞれの給与は全額家計に入れて小遣い制とするのか、給与の一部を家計に入れるのか等、生活費の負担割合や、収入の管理方法などを事前に話し合っておくと、後々のお金の使い方についてのトラブルを防ぐ効果が期待できます。
夫婦共働きの場合は、生活費の負担割合は、通常、夫婦の仕事の有無、収入額、家事育児の負担割合、妊娠・育休取得などの状況によって異なるのが通常です。
家賃・生活費などの負担は誰がするのか、割合はどの程度か、それぞれの給与は全額家計に入れて小遣い制とするのか、給与の一部を家計に入れるのか等、生活費の負担割合や、収入の管理方法などを事前に話し合っておくと、後々のお金の使い方についてのトラブルを防ぐ効果が期待できます。
(4)夫婦の財産関係
夫婦の財産について、婚前契約で取り決めることができることは、夫婦財産契約の項でご説明したとおりです。
具体的には、次のような内容を定めます。
具体的には、次のような内容を定めます。
- 婚姻前の夫・妻の財産を、誰の(夫・妻・夫婦)所有とするのか
- 婚姻中の個人名義の財産を、誰(夫・妻・夫婦)の所有とするのか
- 婚姻中の名義不明の財産を、誰(夫・妻・夫婦)の所有とするのか
夫婦共有財産としたものは、基本的に財産分与の対象となります。
(5)財産分与のこと
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産を、離婚に伴って分与する制度のことをいいます(民法768条1項)。
夫婦共有名義の財産は、夫婦の共有財産として原則として分与の対象となりますが、どちらかの単独名義の財産であっても、夫婦が協力して形成した財産という実質があれば財産分与の対象となりますので、離婚の際に、財産分与の対象となる範囲について争いが生じることがあります。
したがって、婚前契約において、財産分与の対象となる共有財産と、ならない特有財産を明確にし、財産分与の対象は共有財産に限られること、財産分与の割合などを合意しておくと、争いを避けることができるでしょう。
夫婦共有名義の財産は、夫婦の共有財産として原則として分与の対象となりますが、どちらかの単独名義の財産であっても、夫婦が協力して形成した財産という実質があれば財産分与の対象となりますので、離婚の際に、財産分与の対象となる範囲について争いが生じることがあります。
したがって、婚前契約において、財産分与の対象となる共有財産と、ならない特有財産を明確にし、財産分与の対象は共有財産に限られること、財産分与の割合などを合意しておくと、争いを避けることができるでしょう。
(6)DVや浮気があったときのこと
配偶者のDVや浮気に対して、婚前契約書にペナルティを定めておくと、配偶者がDVや浮気を行う一定の抑止力となることが期待できます。
ペナルティとして多いのは慰謝料の定めですが、不倫を原因とする離婚の慰謝料の相場が100万~300万円であることを考慮すると、通常は高くても500万円程度とすることが多いようです。
数千万円などあまり高額にすると、公序良俗に反し無効とされるおそれが高くなりますので注意してください。
ペナルティとして多いのは慰謝料の定めですが、不倫を原因とする離婚の慰謝料の相場が100万~300万円であることを考慮すると、通常は高くても500万円程度とすることが多いようです。
数千万円などあまり高額にすると、公序良俗に反し無効とされるおそれが高くなりますので注意してください。
婚前契約書作成の注意点
婚前契約書を作成する際に知っておきたい注意点について説明します。
(1)効力が発揮されない事項もある
婚前契約を締結すれば、どのような内容であっても強制力があるわけではありません。
例えば、公序良俗に反するような内容は無効となります(民法90条)。
また、「それぞれの義実家には盆正月に家族みんなで帰省する」と合意しても、嫌がる相手を強制的に引っ張っていくことはできませんし、裁判で強制することも困難です。
「不倫はしない」と合意しても、心を縛ることはできませんし、「一方が離婚を申し出たら離婚する」と合意しても、離婚意思はその当時に存在する必要がありますので、離婚を拒否されれば離婚を強制することはできません。
このように、強制力のない約束事もあります。
しかし、事前に話し合っておくことはトラブル防止にもつながりますし、婚前契約書に定めがあれば、合意内容はきちんと守ろうという動機付けにつながりますので、強制力のない内容であっても、婚前契約を締結する意義はあります。
例えば、公序良俗に反するような内容は無効となります(民法90条)。
また、「それぞれの義実家には盆正月に家族みんなで帰省する」と合意しても、嫌がる相手を強制的に引っ張っていくことはできませんし、裁判で強制することも困難です。
「不倫はしない」と合意しても、心を縛ることはできませんし、「一方が離婚を申し出たら離婚する」と合意しても、離婚意思はその当時に存在する必要がありますので、離婚を拒否されれば離婚を強制することはできません。
このように、強制力のない約束事もあります。
しかし、事前に話し合っておくことはトラブル防止にもつながりますし、婚前契約書に定めがあれば、合意内容はきちんと守ろうという動機付けにつながりますので、強制力のない内容であっても、婚前契約を締結する意義はあります。
(2)実現されるか分からない事項もある
未成年の子どもがいるときは、離婚の際にどちらが親権者となるか決める必要があります。
婚前契約に、離婚の際の親権者についても合意することができます。
しかしながら、親権者は子どもの利益(福祉)の観点から、どちらが親権者となる方がより適切かという観点から決定され、夫婦の協議により決定できないときは、最終的に家庭裁判所が判断します。
婚前契約によって、家庭裁判所が親権者を指定することを排除することはできません。
したがって、離婚時に、他方が合意内容に反して「自分が親権者となる」と主張した場合には、最終的に家庭裁判所が、合意内容にとらわれず、子どもの利益の観点から親権者を決定することになります。
このように、合意内容によっては、合意したとおりの結果とならないこともあります。
婚前契約に、離婚の際の親権者についても合意することができます。
しかしながら、親権者は子どもの利益(福祉)の観点から、どちらが親権者となる方がより適切かという観点から決定され、夫婦の協議により決定できないときは、最終的に家庭裁判所が判断します。
婚前契約によって、家庭裁判所が親権者を指定することを排除することはできません。
したがって、離婚時に、他方が合意内容に反して「自分が親権者となる」と主張した場合には、最終的に家庭裁判所が、合意内容にとらわれず、子どもの利益の観点から親権者を決定することになります。
このように、合意内容によっては、合意したとおりの結果とならないこともあります。
(3)契約内容の変更には相手の合意が必要
婚前契約は、相手の合意がなければ、その内容を変更することはできませんので、事前によく話し合って、内容について理解してから契約するようにしましょう。
【まとめ】婚前契約を結ぶなら契約書を作成して公正証書に!お悩みの方は専門家に相談
婚前契約を締結することで、婚姻生活における様々なトラブルを防止し、幸せな結婚生活を送ることが期待できますが、合意した内容すべてについて、法的拘束力や強制力が認められるわけではありません。
婚前契約の内容については、きちんと婚前契約書を作成することをお勧めしますが、専門家でなければ法的知識に基づいた契約書の作成が難しいことがあります。
契約書の作成方法や書くべき内容がわからないという方は、弁護士などの専門家に相談し、契約書の作成を依頼するなどして、必要なサポートを受けることをお勧めします。
婚前契約の内容については、きちんと婚前契約書を作成することをお勧めしますが、専門家でなければ法的知識に基づいた契約書の作成が難しいことがあります。
契約書の作成方法や書くべき内容がわからないという方は、弁護士などの専門家に相談し、契約書の作成を依頼するなどして、必要なサポートを受けることをお勧めします。
アディーレ法律事務所のチャンネル
この記事の監修弁護士
慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。
- ※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。