新宿区で残業代請求したい!よくある3つの残業トラブルを解説

「残業代がもらえるはずなのに、会社が残業代を正しく支払ってくれていない気がする……。
残業代請求をしたいと考えているけれど、自分の抱えているトラブルで本当に残業代請求できるのかな?」

残業代が正しく支払われていないかもしれないと思うと、許せないという気持ちが湧いてきますよね。
しかし、一方で、自分の抱えている残業トラブルで本当に残業代請求ができるのかも気になるところかと思われます。

未払い残業代の請求につながりやすい、よくある残業トラブルがいくつかあります。

例えば、「日常的にサービス残業を強いられる」ことなどは、残業代請求につながるよくあるトラブルのひとつです。

この記事を読めば、自分の抱えるトラブルがよくある残業トラブルにあたるのかが分かります。

この記事を読んでわかること

  • 東京都内の賃金不払いに関する統計データ
  • よくある3つの残業トラブル
  • 残業代を請求する前に確認しておきたい注意点
  • 残業トラブルの相談先

2021年度の残業代を含む賃金不払いの労基署への申告は、東京都内だけで2285件

2021年度、東京都内の労働基準監督署には、2989件の申告が寄せられました。
そのうち、2285件は、賃金不払い(残業代・割増賃金の不払いを含む)に関する申告でした。
東京都内の賃金不払いの申告件数は、過去10年を見ると減少傾向にはあります。
しかし、いまだに年間2000件以上もの賃金不払いの申告が寄せられており、賃金不払いという違法な状態で労働者を働かせる会社は根強く残っているといえます。

東京都内において、23区別での賃金不払いの件数に関する統計は、公表されていません。
もっとも、新宿は東京都内有数のオフィス街であり、新宿区内に所在する会社が残業代・割増賃金を適切に支払っていない件数は、それなりに大きな数字に上るものと推測されます。

新宿区内にあるあなたの会社も、もしかすると適切に残業代・割増賃金を支払っていないかもしれません。

参考:東京都内の労働基準監督署における令和3年の申告事案の概要|厚生労働省

あなたの会社でも?よくある3つの残業トラブル

ここまででご説明したように、新宿区を含む東京都内では 数多くの残業トラブルが発生していると推測されます。
残業代未払いが典型的な残業トラブルですが、残業代未払いにもさまざまなケースがあります。

例えば、次のような残業トラブルは、残業代未払いにつながるよくある残業トラブルです。

  • 36協定の上限を超えた残業を強いられる
  • 日常的にサービス残業を強いられる
  • 会社から「あなたの働き方の場合は残業代が発生しない」と言われる  など

あなたの会社にも、このような残業トラブルはありませんか?
これらの残業トラブルについてご説明します。

(1)トラブル1|36協定の上限を超えた残業を強いられる

会社が労働者に「時間外労働」や「休日労働」をさせる場合には、所定の手続きを行わなければなりません。

「時間外労働」とは、法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えた労働のことです。
「休日労働」とは、法定休日(週に1日または4週につき4日以上の休日)に行う労働のことです。

会社が、これらを労働者に行わせるために行わなければならない手続きは、次のとおりです。

  • 労働基準法36条に基づく労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る
  • 雇用契約書や就業規則等に「36協定の範囲内で時間外労働や休日労働を命じる」旨を明記する

会社は、このような36協定の締結・届出などの手続きを行わないまま、労働者に時間外労働や休日労働をさせることはできません。

36協定を締結・届出した場合、残業(時間外労働)の上限時間は、原則として「月45時間・年360時間」です(労働基準法36条4項)。
また、臨時的な特別の事情がある場合に限って、特別条項付きの36協定を締結すればこの「月45時間・年360時間」という上限を超えることができます。

この場合でも、次のように上限が定められています。

  • 時間外労働につき、年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計につき、月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計につき、2~6ヶ月平均が80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えられるのは、年6ヶ月まで

この上限を超えて労働者に残業をさせた場合、会社には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰が科せられることもあります(労働基準法119条1号)。

(2)トラブル2|日常的にサービス残業を強いられる

労働者が会社から日常的に「サービス残業」を強いられているというケースもあります。

「サービス残業」とは、実際には残業をしているにもかかわらず、その残業に対して本来払われるべき正当な残業代(割増賃金)が支払われない時間外労働・休日労働・深夜労働のことです。

このような「サービス残業」(残業代不払いの労働)は、労働基準法37条に違反する行為です。

(3)トラブル3|会社から「あなたの働き方の場合は残業代が発生しない」と言われる

会社から、「あなたの働き方では残業代が発生しない」と言われる場合があります。
しかし、このような会社の主張にかかわらず、実は残業代がもらえるという場合も多くあります。

会社が「残業代が発生しない」と主張する根拠には、次のようにいくつかのものがあります。

  • 裁量労働制で働いているから残業代が発生しない
  • 固定残業代制(みなし残業代制)で働いているから残業代が発生しない
  • 立場や役職が「管理監督者」にあたるから残業代が発生しない   など

しかし、このような会社の主張が常に正しいわけではありません。

(3-1)裁量労働制で働いているから残業代が発生しない?

「裁量労働制」とは、業務の性質から、労働時間の配分を含めその遂行方法について労働者の大幅な裁量に委ね、実際の労働時間ではなく、あらかじめ決められた時間だけ働いたものとみなす制度のことです。

裁量労働制の下では、実際に何時間働いたかにかかわらず、あらかじめ労使協定や労使委員会の会議で決められた「みなし労働時間」の分だけ働いたものとみなされます。

例えば、「1日8時間働いたものとみなす」とされた場合、実際に働いた時間が1日6時間であっても1日9時間であっても、そのことに関わりなく1日8時間働いたものとみなされます。

このような裁量労働制の下では、残業代が発生しないのではないかと考えられるかもしれません。

しかし、裁量労働制で働いていても、残業代が発生することがあります。

たとえば、みなし労働時間が「1日9時間」と定められていた場合には、働いたものとみなされる時間が法定労働時間(1日8時間)を超えるので、その分だけ残業代がもらえます。
また、裁量労働制の下でも休日労働と深夜労働の残業代については別途支払わなければならないとされています。
このため、休日労働や深夜労働(原則22時~5時の時間帯における労働)をした場合には、会社は、裁量労働制であってもそれに対する残業代(割増賃金)を支払わなければなりません。

さらに、そもそも裁量労働制を適用できる対象ではないなどの理由で、裁量労働制の定めが無効と判断される場合もあります。
この場合には、会社は、あらためて実際の労働時間を基に計算した残業代を支払わなければなりません。

(3-2)固定残業代制(みなし残業代制)で働いているから残業代が発生しない?

「固定残業代制(みなし残業代制)」とは、実際にどれだけの時間残業したかにかかわらず、あらかじめ定めた一定額の固定残業代を支払うことで残業代の支払とするというものです。

例えば、「月10時間の時間外残業をしたものとみなして、これに対して○○円の固定残業代を支払う」という内容の契約がなされることがあります。

この場合、実際に残業をした時間が月5時間だったとしても月8時間だったとしても、そのことにかかわりなく、月10時間残業をしたものとみなされます。
そして、月10時間というみなし残業時間に対して、あらかじめ定めた固定残業代が支払われることになります。

労働契約で固定残業代制について定めた場合には、固定残業代を支払さえすればそれ以外に一切残業代を支払わなくてもいいと考えられてしまうことがあります。
しかし、それは間違いです。

固定残業代制の場合でも、あらかじめ定めたみなし残業時間を超えて残業をした場合には、その残業をした分に対する残業代が支払われることになります。
例えば、先ほどと同様「月10時間」というみなし残業時間が定められた場合に、月18時間残業をしたとします。

この場合には、月10時間を超えて残業をした8時間分の残業に対して、別途残業代を支払わなければなりません。

さらに、そもそも固定残業代の定めが無効だという場合もあります。
固定残業代の定めが無効となる場合には、残業代の支払がなかったものとして再計算した残業代の支払を求めることができます。

この場合には、残業代が一切支払われていなかったことになることや、固定残業代として支払われていた賃金が残業代計算の基礎となる賃金に入れられて再計算されることになることから、多くの残業代がもらえる結果になることも多くあります。

(3-3)立場や役職が「管理監督者」にあたるから残業代が発生しない?

「管理監督者」とは、労務管理について経営者と一体の地位にある者のことです。
このような立場にある者は、その職責等を考えると、労働基準法の労働時間の規制になじまないとされます。

このことから、労働基準法は、管理監督者については労働時間等の規制を適用しないことにして、時間外労働や休日労働の残業代を支払う必要はないとしています。

「課長や部長等の肩書きだから常に管理監督者にあたる」とする会社があります。
しかし、それは間違いです。
職務内容や出退勤時刻等に関する裁量の有無などを考慮して、管理監督者である実態がないと判断される場合には、肩書にかかわらず、管理監督者にあたりません。

このように、肩書だけは管理職であるものの、実質的には管理監督者にあたらない場合を「名ばかり管理職」と呼ぶことがあります。
「名ばかり管理職」には、通常の労働者と同じく労働基準法が適用されます。
この結果、名ばかり管理職であれば残業代がもらえることになります。

また、仮に本当に管理監督者にあたる場合でも、深夜労働(原則22時~5時の労働)に対する割増賃金はもらうことができます。

このように、名ばかり管理職に対して残業代を支払わない場合や、管理監督者に深夜労働の割増賃金を払わない場合などには、未払い残業代が発生している可能性が高いです。

残業代を請求する前に確認!注意するべき2つのポイント

残業代を請求する前に確認しておきたい 注意するべき2つのポイントは、次のとおりです。

  • 「消滅時効」の期間が経過しないうちに残業代請求する
  • 残業を示す証拠を収集する

(1)ポイント1|「消滅時効」の期間が経過しないうちに残業代請求する

残業代を遡って請求する場合には、残業代を含めた賃金請求権の「消滅時効」期間に注意する必要があります。

「消滅時効」とは、一定の期間にわたって権利を行使しないでいると、権利が消えて行使できなくなってしまう制度です。

残業代を含めた賃金請求権の消滅時効期間は、2年または3年です。
2年か3年かは自由に選べるわけではありません。
賃金請求権の消滅時効期間は、次のとおりです。

2020年4月1日より前に支払日が到来した賃金請求権の消滅時効期間:2年
2020年4月1日以降に支払日が到来した賃金請求権の消滅時効期間:3年
残業代を含めた賃金請求権の消滅時効期間が経過するまでは、退職後でも未払い残業代を請求することができます。

例えば、2019年4月1日から働き始めて、毎月残業代が発生しているのにずっと支払われていなかったとします。

賃金の支払日は当月25日、残業代請求をする日は2022年10月1日だとします。
この場合、2019年4月~2020年3月分の残業代請求権は、消滅時効期間が2年なので、2022年3月25日までには全て消滅時効が完成して請求できなくなります。

他方、2020年4月~2022年9月分の残業代請求権は、消滅時効期間が3年なので、2022年10月1日時点ではまだいずれも消滅時効が完成しておらず、残業代請求できることになります。

(2)ポイント2|残業を示す証拠を収集する

残業代請求においては、残業をしていたことを示す証拠が大切です。
残業代請求の前に、労働条件、実際の労働時間、実際に支払われた賃金などを示す証拠を集めます。

残業代請求の際に証拠となるものは、主に次のようなものがあります。

  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 就業規則
  • 賃金規程
  • 給与明細書
  • 賃金台帳の写し
  • タイムカードの写し
  • WEB打刻のスクリーンショット
  • タコグラフ(タコメーター)の写し(※主にドライバーの方)
  • 日報、業務日報などの写し

新宿区にある残業問題の相談先

新宿区にも、 残業問題の相談先があります。
次の2つをご紹介します。

  • 新宿総合労働相談センター
  • 新宿総合法律相談センター

(1)新宿総合労働相談センター

総合労働相談センターは、労働に関するあらゆる分野の問題につき、専門の相談員と電話または面談で相談できる公的な相談窓口です。

新宿総合労働相談センターの連絡先等は次のとおりです。

電話番号:03-6863-4460
郵便番号:169-0073
住所:新宿区百人町4-4-1 新宿労働総合庁舎4階(新宿労働基準監督署内)

参考:総合労働相談コーナー|厚生労働省 東京労働局

(2)新宿総合法律相談センター

総合法律相談センターでは、労働問題に関する相談を含めた各種の法律相談を行うことができる、弁護士会が設置した相談窓口です。
新宿総合法律相談センターの連絡先等は、次のとおりです。

電話番号:03-6205-9531
郵便番号:160-0021
住所:新宿区歌舞伎町2-44-1 東京都健康プラザハイジア8階

参考:新宿総合法律相談センター|弁護士会の法律相談センター

弁護士に残業代請求を相談・依頼するメリット

公的な相談窓口ではなく、 弁護士に残業代請求について相談・依頼するという方法もあります。

公的な相談窓口と弁護士との最も大きな違いは、弁護士であればあなたの権利を実現するためにあなたの代理人として動いてくれるということです。
弁護士とは異なり、公的な相談窓口では、あなたの代理人となることまでは行ってくれません。

弁護士に残業代請求を相談・依頼するメリットには、次のようなものがあります。

  • 弁護士があなたの代わりに会社と交渉を全て行ってくれる。これにより、あなたが会社と直接交渉しなければならない負担が軽減される。
  • 弁護士が、複雑な残業代計算を正確に行ってくれる。これにより、本来もらえるはずの残業代をしっかりと請求することが可能になる。
  • 弁護士が経験や知識に基づいてどのように交渉や裁判手続きを進めるべきかアドバイスしてくれる。これにより、状況に応じて最も適切な行動を選ぶことが可能になる。

特に、残業代請求でお悩みの新宿区の方であれば、残業が多く忙しすぎてなかなか公的窓口に相談に行けないということもあるでしょう。
弁護士であれば、夜の時間帯や土日も電話予約・相談に応じてくれることがあり、よりスムーズな解決につなげられる可能性を高めることができます。

新宿区で残業問題の弁護士を選ぶならアディーレ法律事務所も選択肢のひとつ

新宿区内で残業問題の弁護士をお探しの場合は、 アディーレ法律事務所も選択肢のひとつです。

アディーレ法律事務所には、残業トラブルの解決に熱心に取り組む弁護士が多く在籍しています。

アディーレ法律事務所は、無料での電話相談やオンライン面談、新宿支店での対面による面談も受け付けています。

アディーレ法律事務所新宿支店

アディーレ法律事務所新宿支店をご紹介します。

  • 住所

〒163-0603
東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル3階

電車でお越しの場合のアクセスは、次のとおりです。
JR/京王線/小田急線/西武新宿線/丸の内線/都営新宿線/都営大江戸線「新宿駅」西口から徒歩5分
都営大江戸線「都庁前駅」から徒歩2分

車でお越しの際は、次の駐車場を無料でご利用いただけます。
新宿センタービル駐車場
東京都新宿区西新宿1-25-1

【まとめ】「日常的にサービス残業を強いられる」などの残業トラブルがある

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 2021年度の残業代を含む賃金不払いの労基署への申告は、東京都内だけで2285件
  • 次のような残業トラブルは、残業代未払いにつながるよくある残業トラブル。
  1. 36協定の上限を超えた残業を強いられる
  2. 日常的にサービス残業を強いられる
  3. 会社から「あなたの働き方の場合は残業代が発生しない」と言われる
  • 残業代を請求する前に確認しておきたい注意するべきポイントは次のとおり。
  1. 消滅時効期間が経過しないうちに残業代請求する
  2. 残業を示す証拠を収集する
  • 新宿区には残業トラブルを相談できる公的相談窓口がある。
  • 公的相談窓口ではなく、弁護士に相談・依頼するメリットには、あなたの代わりに会社と交渉を行ってくれてあなたの負担が軽減されるなど、さまざまなものがある。
  • 新宿区で残業問題の弁護士を選ぶなら、アディーレ法律事務所も選択肢のひとつ。

残業トラブルは、抱えているだけでとても疲れてしまうもの。
できるだけ早く解決したいですよね。

オフィスも多く、それだけに残業トラブルも多いと思われる新宿区にお住まい・お勤めのあなたのために、アディーレ法律事務所が残業代請求の手続きを代わりに行います。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した残業代などの経済的利益からのお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求に詳しいアディーレ法律事務所へご相談ください。

この記事の監修弁護士
髙野 文幸
弁護士 髙野 文幸

弁護士に相談に来られる方々の事案は千差万別であり、相談を受けた弁護士には事案に応じた適格な法的助言が求められます。しかしながら、単なる法的助言の提供に終始してはいけません。依頼者の方と共に事案に向き合い、できるだけ依頼者の方の利益となる解決ができないかと真撃に取り組む姿勢がなければ、弁護士は依頼者の方から信頼を得られません。私は、そうした姿勢をもってご相談を受けた事案に取り組み、皆様方のお役に立てられますよう努力する所存であります。

  • 本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。